アンテナQ&A
それぞれの帯域幅、並びに機械的強度(バランス)で表されると考えております。
利得とビームパターンは互いに大きな関連があり、メインロープが狭いほど、
サイドローブやバックロープが小さいほど高利得であると言えます。
八木アンテナは通常、給電工レメント(ラジエーター)と、他の何本かのパラスチック
エレメント(リフレクターやディレクター)の組合せによって構成されます。
これらのエレメントの数や配置、各々の長さ等の無数の組合せでアンテナの性能が
決まる訳です。設計しだいでF/B比(アンテナの前後の電力比)やサイドローブの
状態が良くも悪くもなります。又、ビームパターンには帯域幅が要求されます。
バンドの端も中央も出来るだけF/B比が高く、サイドロ-ブも無いほうがよい訳です。
なおかつメインローブの角度ができるだけ狭い(ゲインが高い)ことが条件になります。
もう-つの重要な性能にSWR特性があります。ハムのアンテナには使用可能な
周波数の幅が要求されます。即ち、使用するバンドのはしからはしまで、できるだけ
低SWRであることが望まれます。アンテナの設計次第でSWR特性は狭くもなり、
広くもなります。大体において八木アンテナの給電インピーダンスはそのままでは
50オームにはなりませんから、そのアンテナに適したマッチング方法を色々な整合の
手段の中から選び出して最も使いやすいように設計をします。〔バンド幅が広い周波数帯
の場合や、アンテナの小型化、簡略化のため使用するバンド幅いっぱいにSWRの
低い範囲がとれない場合はバンド幅を2分割(phone/cw等)し、エレメントの寸法を
変えることでアンテナを組み立てる時にどちらかを選択するように設計をする事も
あります。
”ナガラ”の技術スタッフが以上のテーマに日夜努力を重ねて開発しました。
数々の、(使い勝手の良い高性能アンテナ)を十分にご検討いただき、ご採用いただ
きますようお願い申しあげます。1940年発行のElectronics誌に、すでにこの種のアンテナの記事を見ることかできます。
しかしながら、多くのハムには、この種のアンテナ設計原理が、それほど馴じみ深いもの
ではありませんので、ここで、ごく簡単にこの原理についてふれておきましょう。
A図は、3バンド・トラップ型アンテナの回路図です。
(1)の部分の長さは、 使用する一番高い半波長に等しい長さです。
並列共振回路のAとA'は、この端に追加され、
(1)が半波長であるような周波数で共振します。次の、低いバンドで使用するとき、
(2)の部分の等価電気長が追加されます。等価電気長というのは、共振回路による
リアクタンスが導入されているので、これを勘定に入れて、次の低いバンドで半波長の
共振を実現することをいいます。これらの追加された部は、(2)が半波長に共振している
ときB及びB'の並列共振回路の高いインピーダンスによって切離されるので、無関係となります。
第3番目のバンドで使用する時は、上記と同じことでB及びB'の並列共振回路とエレメントが追加され、(3)の部分が最も低いバンドの半波長となります。
並列共振回路を利用したトラップは、その共振点附近で非常に高いインビーダンスを示します。
アンテナが、使用するバンドに共振するようにエレメントを切離すための絶縁物として動作します。(C図)
ところで、トラップは、マルチバンドアンテナを形成する部品の中で、
最も電気的機槻的に弱点を作る原因になりやすいものです。
トラップのちょとした 不良や性能劣化もアンテナの性能を著しく低下させたり、全く動作しなくなったりします。
したがって、良質のトラップの設計は非常に重要なことで、良好な動作を維持するためには、広範囲の温度や湿度の変化にも安定に共振点を保ち、動作不能や破壊の原因になるゴミや湿気が トラップ内部に進入したり、堆積しないように考慮を払う必要があります。
トラップの共振回路のインダクタンスやキャパシタンスが少しでも変動すれば、
トラップの共振周波数は、それに応じて変動します。
したがって、これらの素子は、確実に固定する必要があり、ナガラ製トラップに使用されているトラップは、B図のように頑丈な構造ですので安定度は抜群です。
ナガラ製トラップのコイルは、ハイインパクトのポリスチレンボビンに最良質のアルミ線をスペース巻きにしてあります。巻線の両端はネジ又はリベットで確実に固定しております。
コイルボビンは、アルミのエレメントパイプと外側のトラップのケース用アルミパイプとが、コンデンサーを形成します。
この様な構造を採用したため、コンデンサーの電極は、互いに動くことができず、
完全に固定され、安定に動作するわけです。
ナガラ製トラップは、"呼吸"するように設計されており、水がたまったり、ゴミが堆積したり、しないようになっております。
固くシールしたトラップはかえって水やゴミを集めやすく、トラップの機能をそこなうことになります。
シリカゲル等の吸湿材を封入しても、 一定量しか吸収してくれませんので、すぐに動作不良を起します。
トラップアンテナを長期間・安定に動作させるためには、トラップに用いられている材料を吟味することが肝心です。
ナガラ製トラップは、他のトラップのようにやわらかいプラスチックでシールされたものや、裸のトラップとは違い、アルミのケースに納められ、それ自身の耐候性に加え、トラップのアセンブリー全体を終始保護します。
構造的にも、ナガラ製トラップは、十二分な強度と頑丈さを有しており、各トラップの重量も一様に分布させ、スリムな形状は風抵抗を十分に小さくしてあります。
よくハムバンドの会話の中で耳にするのですが、SWRについて全く馬鹿々々しいほどのことにひきずりまわされているハムがいます。永年、ビームアンテナの優努な結果を経験してきた多くのハムが、突然、自分のアンテナの給電線が完全均一な整合がとれたものよりいささか劣るとわかった時、彼等はビームアンテナの高性能を棚上げにして、新らしく見つけた"不快な発見"(SWRが完全に1にならないと云うこと)にガマンができないようになります。
このまちがった考え方は、完全を求めて、ハムを不眠不休の闘いにおいやることがしばしば起ります。
プロのアンテナ技術者は、ごく普通のこととして、定在波比1.5:1か、それよりも少しぐらい高目の値を認めておりますが、これで十分であり、許容できるものであります。
ARRLのアンテナハンドブックを見ると、SWR1.5:1の場合、RG-8/Uの28MHzにおけるロスは1dBだけです。
電界強度の低下は、普通Sメーターでは判らないでしよう。
このSWRによって増加した損失はもともと100フィートのラインに存在する1dBのラインロスに対して、耐えられぬというものではありません。
その上、これらのロスは、周波数が低くなれば、その値も小さくなるものです。
特にHAMアンテナで広帯域の全周波数について運用しなければならないときがあります。
このとき、完全均一なSWR特性をもった給電線/アンテナの組合せのものは不適当です。
これらの組合わせのものは、一般に非常にクリチカルで単一周波数についてのみ均一であって、"広帯域で最適な動作"を目標に設計されたアンテナに比べ、貫弱な周波数特性曲線を示すことが多いからです。
実際問題としてビームのSWRについて、同調点では1.1/1におさえ周波数をかえても
余り増加しないことの方が、同調点で完全整合はしても、周波数を変えると再同調が要るものよりずっとよいというハムが多いようです。ナガラ製トラップビームは、バンド内のどのポイントにも完全均一整合を要求せず、各バンドとも全帯域の最適な動作を目標に設計しました。
これによって、苦労の多い屋上作業や塔のぼりをしていただかなくてもよくなりました。
周波数特性曲線は、同調点では非常にSWRが小さく、バンド・エッジではわずかにSWRが増加している程度になっています。